アマゾンに敵対心を燃やすウォルマート、次は広告業に関心
ウォルマート(WALMART)は6月5~7日に年次株主総会を開催し、業績の報告や従業員の表彰を行ったほか、今後のデジタル戦略などを発表した。
米女優のジェニファー・ガーナー(Jennifer Garner)やソフィア・ベルガラ(Sofia Vergara)が登場したり、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がビデオでウォルマートによるコミュニティーへの貢献を称えたりするなど華やかなイベントとなった。また2020年米大統領選の民主党候補指名争いに名乗りをあげているバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員も出席し、「ウォルマートの賃金は低すぎる」として従業員の最低賃金を時給15ドルに引き上げるよう訴えたが、株主により否決された。
同社はアマゾン(AMAZON)に対抗する新サービスとして、顧客の冷蔵庫に生鮮食品を宅配する「インホーム(INHOME)」を発表した。配達は少なくとも1年以上勤務している従業員が担当し、顧客は配達員が装着しているカメラで撮影された映像によって室内での様子を確認できるという。
傘下のジェット・ドット・コム(JET.COM)の創業者でもあるマーク・ロアー(Marc Lore)=ウォルマートU.S. EC部門プレジデント兼最高経営責任者(CEO)は、「およそ20万種類の商品の中から購入したものを無料で翌日配送するサービスを数週間前に発表したが、さらに2800の人気商品がそこに追加された。翌日配送の場合、商品は全て同じ配送センターから配送されるため、実は費用を抑えられる」と発表した。
ウォルマートは18年6月、チャットでの会話を通じて買い物と配達を依頼する有料会員サービス「ジェットブラック(JETBLACK)」をスタートしている。同氏はこれについて、「会員の3分の2以上が毎週利用しており、月平均で1500ドル(約16万2000円)の買い物をしている。将来的には仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を利用して、価格の比較や商品レビューなどの店舗にない情報も提供していきたい」と語った。
ダグ・マクミロン(Doug McMillon)社長兼CEOは今後の展望として、「発表するには時期尚早だが、新たなビジネスモデルを開発している。店舗やECなどで商品を販売することが事業の核であることに変わりはないが、広告事業に進出するビジネスチャンスがあると考えている。何年も前に、店内にテレビを設置してその広告枠を販売するという計画があった。現代ではそれをオムニチャネルで展開する機会があるのではないかと思うが、顧客の買い物体験を損なわないようにしたい」と述べた。
米中の貿易摩擦問題については、「ウォルマートは1996年から中国市場に進出しており、現在400店を運営している。中国には巨大なビジネスチャンスがあり、世界中の消費者がその恩恵を受けてきたので、(貿易摩擦問題が)解決することを願っている」とコメントした。同氏はまた、「景気の減速は、今までウォルマートで買い物をしなかった層が節約のために来店する可能性を秘めている。アパレルに力を入れ、その品質やプレゼンテーションの改善をすることで新たなチャンスとなるかもしれない」と語った。